第2回 日本国際合唱作曲コンクール(ICCC Japan 2016):結果発表
新たな合唱音楽のレパートリーの発信と、合唱音楽の更なる普及を目的として昨年発足した日本発の新しいコンクール「日本国際合唱作曲コンクール(ICCC Japan)」(主催: 東京合唱アライアンス"耕友会"、協賛: 株式会社 パナムジカ)。
第2回目となる今年のコンクールでは、世界24カ国から応募があった83作品を、パミントゥアン(審査委員長)、ブスト、ドゥブラ、ジェンジェシ、そして千原英喜という合唱音楽を知り尽くした豪華メンバーが審査しました。
審査結果の発表と初演は、2016年8月27日に「軽井沢国際合唱フェスティバル2016」の中で行われ、同時に第1位と第2位(2作品)の3作品がパナムジカより全世界一斉販売となりました。これらの作品が、日本のみならず世界中の合唱団の新たなレパートリーとなりましたら幸いです。
この度、当コンクールの芸術委員長であり初演指揮者でもある松下耕氏より各曲の解説をいただきましたので、そちらも合わせてご紹介いたします。
●前回の第一回日本国際合唱作曲コンクール結果内容・映像はこちら
(第一回の入賞曲がyoutubeにて聞けるようになりました!)
公式サイト(http://icccj.org/jp/)
第2回目となる今年のコンクールでは、世界24カ国から応募があった83作品を、パミントゥアン(審査委員長)、ブスト、ドゥブラ、ジェンジェシ、そして千原英喜という合唱音楽を知り尽くした豪華メンバーが審査しました。
審査結果の発表と初演は、2016年8月27日に「軽井沢国際合唱フェスティバル2016」の中で行われ、同時に第1位と第2位(2作品)の3作品がパナムジカより全世界一斉販売となりました。これらの作品が、日本のみならず世界中の合唱団の新たなレパートリーとなりましたら幸いです。
この度、当コンクールの芸術委員長であり初演指揮者でもある松下耕氏より各曲の解説をいただきましたので、そちらも合わせてご紹介いたします。
Ave Regina音源はこちらからお聞きいただけます作曲者:Rudi Tas (ベルギー 1957~) 出版社:Pana Musica パナムジカコード:GT0703B
声部:SATB div.
伴奏:無伴奏
言語:ラテン語
時間:5分00秒
|
|||
すでに世界的に名を知られているベルギーの作曲家ルディ・タスによる無伴奏混声合唱曲。宗教曲としてはどちらかと言うと珍しいリズミカルで快活な作品です。中盤からはオプションとして手拍子が加わり、さらにはつらつとした快活さが生まれます。軽やかさだけではなく、G.P.をはさんだ後のMeno mossoで聞かせどころが用意されている構成も見事です。 division・変拍子が多用されているため難易度は高めですが、それだけの演奏効果を得ることができるので、コンクールやアンサンブルコンテストの自由曲として今後多くの合唱団にとりあげられることでしょう。 ベルギー在住のRudi Tasの作品。実はこの人は、既に作曲家として活動している人で、高い評価を得ている人である。このような人が応募してくる、ということは、このICCCの信頼度の高さを表している。 曲は、一部を除きAllegroのLeggieroで演奏される。Andanteの作品が多い中での、この曲の躍動感、積極性が光ったゆえの結果と言えよう。 冒頭から、幾何学的とも言えるリズムの応酬。しかしながら、テキストの内面性は全く損なわれていない。このあたりを、審査員はさすがに見抜いている。応募作品の中には、技術の面では奇抜なことをやっていても、テキストの内容にそぐわない作品も少なくない。その点、この作品はリズムの中にも、敬虔な祈りが込められている。リズムが単なる『遊び』ではないのだ。 この曲の素晴らしさは、その躍動的なリズムとともに、構成力にある。緩徐部分や、変拍子の配置が絶妙で、変化に富んでいながら全体の統一も取れている。4分半という時間に、非常によくまとめられている作品である。今後、コンクールなどで、もてはやされる予感がする。演奏効果抜群の一曲。 (松下 耕) 【作曲者プロフィール】 ルディ・タス (Rudi Tas) |
|||
|
|||
Ave Maria音源はこちらからお聞きいただけます作曲者:Ruben Garcia-Martin (スペイン 1983~) 出版社:Pana Musica パナムジカコード:GG1203A
声部:SATB div. + Sop.solo
伴奏:無伴奏
言語:ラテン語
時間:4分00秒
|
|||
スペインの作曲家ルーベン・ガルシア=マルティンによる無伴奏混声合唱のためのアヴェ・マリアです。 グレゴリオ聖歌と自国の大作曲家ビクトリアのアヴェ・マリアのメロディーが曲の一部に取り入れられています。 曲は4部構成となっており、静かなハーモニーと、そこから立ち上るかのようなソプラノソロ…拍節を感じさせない神秘的な第1部、駆け上がる上昇音形にテンションの高まる第2部、堂々としたモノフォニーで和音を聞かせる第3部、そしてオープニングを再現する第4部はあたたかな変イ長調の終始へと向かいます。 多少のdivisionはありますが、少人数アンサンブルにもおすすめの一曲です。 スペイン在住のRuben Garcia-Martinの作品。この人も、学校で作曲と理論を教える傍ら、ドキュメンタリー映像のメディアコンポーザーとしても活躍している人である。つまり、プロである。 ホモフォニックなスタイルで、繊細かつメディテーティヴな作品である。口を開かずに口腔内の形状を変えることによって引き起こされる『閉鎖的な母音』が醸し出す世界観がまず美しい。基本的にオリジナルな発想から生まれた作品だが、その源泉にT.L.deVictoriaのAve Mariaがあり、そのフィギュレーションがはっきりと表れている箇所があり、その点も興味深い。 和声的な作品ではあるが、各パートに散りばめられた旋律はどれもシンプルで美しく、魅力的なので、歌う人たちも存分に楽しめる作品である。音域にも無理がなく、その点でも取り上げやすい作品と言えよう。 (松下 耕) 【作曲者プロフィール】 ルーベン・ガルシア=マルティン (Ruben Garcia-Martin)
|
|||
Requiem Aeternam音源はこちらからお聞きいただけます作曲者:Matthew Lyon Hazzard (アメリカ 1989~) 出版社:Pana Musica パナムジカコード:GH1903A
声部:SATB div. + Sop.solo(Opt.)
伴奏:無伴奏(リハーサル用伴奏付)
言語:ラテン語
時間:4分21秒
|
|||
1989年生まれという新進気鋭のアメリカ人作曲家マシュー・リヨン・ハザードによる、叙情豊かなレクイエム。 静かな朝の空気にも似た、穏やかで安らぎのある始まりは、やがて光とともに光の中へ。下3声の歌う"Lux"の重なり、光の降り注ぐようなソプラノ2声の掛け合いが美しく響きます。どこか浮遊感や光彩感のある音楽が与えるのは、永遠の眠りではなく、魂の幸せな休らいなのかもしれません。 演奏会の宗教曲ステージのあたたかな締めくくりにもぴったりな作品です。 今回のコンクールでは、第2位が2作品選出された。 この作品は、アメリカ在住のMatthew Lyon Hazzardの作品。彼は、高校で合唱指導、指揮をしている人である。 シンプルな4小節からなる、Altoの旋律のパートソロから始まるこの曲も、ホモフォニックな構成である。作者はよく合唱の響き、特に純正調の響きを知っている。また、和音を響かすだけではなく、繊細な、ごく繊細な表情を作ることもできる人である。センスがあるのだ。音をどう重ねるか、ではなく、どのように削ぐか、ということについても、よく練られている作品である。 冒頭の、単純なテーマの展開は美しくなされ、やがて壮大なクライマックスへと導かれる、その構成も魅力。さらに、そのクライマックスの後のゲネラルパウゼ、そしてやってくるピアニッシモの静寂の中で祈られる”Requiescat in pace”の部分は、涙を誘うほど感動的だ。 (松下 耕) 【作曲者プロフィール】 マシュー・リヨン・ハザード (Matthew Lyon Hazzard)
|
|||
==================================================== 【初演データ】 初演:2016年8月27日 軽井沢大賀ホール 《軽井沢国際合唱フェスティバル2016》 指揮:松下 耕 合唱:The Metropolitan Chorus of Tokyo |
|||
(第一回の入賞曲がyoutubeにて聞けるようになりました!)
公式サイト(http://icccj.org/jp/)