混声合唱のための「ふることのふみ」
古事記が編纂されてから1300年にあたるのを機に、古事記からテキ
ストを取って作曲された混声合唱作品です。古事記が「フルコトブ
ミ」と読むという説もあることからこのタイトルが付けられました
。
1曲目の「志都歌」は、千原英喜という名前が合唱界に知られる契
機となった1994年の第21回グイード・ダレッツォ国際合唱作品作曲
コンコルソにて第2位(1位なし)を授賞した女声版が元になってい
ます。曲はカノンやオスティナートという古代的でシンプルな音楽
作法の中に雅楽の音取や催馬楽のフシを取り入れてお り、6つのパ
ートがそれぞれ3つにdiv.することで、女声合唱版よりもさらに大
きく神秘的な世界を生み出します。
2曲目の「国見歌」は、神楽鈴や笏拍子の打楽器や楽箏からイメー
ジされた音型を用いることで雅楽の厳かさが広がります。さらに神
官の祝詞の音声である警蹕や仁徳天皇の御言葉の朗読により、「現
代から神話世界への時空移動、テレポーテーション」が生じ、ステ
ージは別世界へと跳躍することでしょう。最後は舒明天皇の御歌で
喜ばしく締められます。
3曲目の「伊邪那岐と伊邪那美」は、場面が様々に移り変わり、物
語のような変化に富んだ作品となっています。冒頭は混沌の原初世
界から聞こえる神楽笛を模した旋律で導かれます。神楽鈴や銅鐸で
古代神秘の空間が色味を増すと、稗田阿礼の朗唱が聞こえてきます
。天上界から声が届き、八百万の神々が合唱を始め、気分が最高潮
に達したとき太鼓を伴って饗宴が始まり、エネルギッシュに物語は
幕を閉じます。各場面の設定がはっきりしていることから、作曲者
が言うように、シアターピースとして取り上げても高い効果が期待
できる曲でしょう。
演奏においては、旋律が複雑に入り組む箇所や、歌だけに収まらな
い多様な表現が要求されるなど、一筋縄ではいかない作品ではあり
ますが、各曲の世界観を見事に構築した際の感動は計り知れないも
のとなるでしょう。
パナムジカコード | GZCHHKH |
単価 | 1,870円 |
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- 作曲者:千原 英喜(ちはら ひでき)
- 編曲者:
- 出版社:全音楽譜出版社
- 作詞者:古事記より
- 訳詞者:
- 編成:混声
- 声部数:
- 声部編成:various
- 伴奏:アカペラ
- 言語1:日本語
- 言語2:ローマ字
- 演奏時間:22'30"
- ページ数:56
- アーティスト: