アメリカの詩人サラ・ティーズダールの詩に曲をつけたものであるこの作品は、 とらえどころのない「完全」や他者とのつながりを求めてやまない生命、それらの関係性を投影したものです。他の多くの声に囲まれているにもかかわらず、ひとりで苦境のなかにあり、それでいても確固として立とうとする様子を思いおこさせるテナーのメロディーからこの曲は始まります。やがて、やさしい抱擁のような旋律の交わりが感情に打ち勝った者の姿を描き出し、解き放たれた感情の爆発のなか確信に満ちみちたハーモニーが響きわたるのです。しかし冒頭と同じ、ひとりの姿を投影した声は"lost as a candle, lost as a light"というフレーズの繰り返しのなか、彼方へ消え去っていってしまいます。それでもその声は、 彼らを愛する者＝"You"のなかに失われることはなく、「個人」であり続けるのです。