満員御礼!バンクーバー室内合唱団京都公演 スペシャルリポート
2009年11月13日
「バンクーバー室内合唱団京都公演」につきましては、2009年11月5日、満員の聴衆の中、感動のうちに終了いたしました。遠くは東北、関東、北陸、そして中国地方からもご来場いただきました。
最初のバッハから、最後のアンコール曲赤とんぼまで、上質で熟成されたハーモニーは、私たちを本当に幸せな気分にさせてくれました。
ご来場いただきました多くの皆様、そして演奏会を開催するにあたり、ご協力いただきました関係各位にこの場をお借りしてお礼申し上げます。
演奏会の模様のリポートを今回歓迎演奏の指揮をしていただきました伊東恵司先生にお願いしました。
当日お越しいただいた皆様はもちろんのこと、お越しいただけなかった皆様にも演奏会の様子を思い浮かべていただけましたら幸いです。
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◎バンクーバー室内合唱団京都公演スペシャル・リポート 合唱指揮者 伊東恵司
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錦秋の京都にカナダが世界に誇る「バンクーバー室内合唱団」がやってきました。久しぶりのアジアツアーの一環ですが、パナムジカ主催による京都公演は長岡京記念文化会館が超満員になるという盛況ぶりでした。
京都公演は「バッハ」に始まり、「ブラームス、ドビュッシー」…、得意の「シェーファーやチャットマン」に、団員でもあるラリー・ニッケルのKyrieも混ざり、間宮の知覧節や指揮者ジョン・ワッシュバーンのアレンジによる幻想的な「さくら」に至るまで、びっくりするほどバラエティーに富んでいました。(そういえば楽しいフォスターも入っていた!)そして、恵まれた体躯を生かした柔らかい歌唱は、ともすれば「素晴らしい合唱=コンクール的強烈な超絶技巧?」という図式を考えがちな我々のイメージを大きく超える「音楽そのものの豊かさやゆとり」を感じさせるものでした。
プログラムは後半になればなるほど持ち味が発揮され、客席の隅々までを魅了していったように思います。まさに国境を越えた一体感が醸成していくのを目の当たりすることが出来ました。
個人的なことですが、バンクーバーには04年の夏の「バンクーバーミュージックフェスティバル」に「なにわコラリアーズ」で招待参加させてもらった経験があります。海に近いバンクーバーの気持ちの良い夏の宵、地元合唱団とも友情を結び、コンサートでは温かいたくさんの拍手を浴びたことを思い出します。その時もお世話になったのですが、バンクーバー室内合唱団演奏旅行責任者のコピソン珠子さんのパンフレットでの言葉が印象深いです。
「音楽を絆として、また尊い人間関係が架け橋となり実行される文化交流はそれ特殊の世界を創り上げます。(中略)これは皆さんと長期にわたり共に努力した賜物です。私達の目的は他の人々と音楽、文化を分かち合うことにあります。そしてそれによりお互いの生活を豊かにすることです。何故ならば文化は人間の心を表現するものだと確信するからです。今回の演奏旅行は一人に中心人物により作り上げるものではなく、カナダ、台湾、日本の合唱団の一人ひとり、またそれを鑑賞する人々、そして様々な立場からこの交流企画をサポートして下さっている方々がこの文化交流に携わり体験することに意味があります。この私達の試みを実現させてくださった太平洋両岸の多くの方々に深く御礼申し上げます。(パンフレットより抜粋)」
プロフェッショナルの合唱団から教えてもらうことが多いのは事実ですが、音楽は決して権威的なもの、一方的なものではあり得ません。そこには必ず人と人との温かい気持ちの交流が生まれるものです。この日の演奏会はまさにそのような雰囲気に満ち、ホール全体が温かく豊かな空間を作り上げておりました。
よくよく考えてみると、実は今回のアジアツアーで「バンクーバ室内合唱団」が演奏した台湾のホールは、「なにわコラリアーズ」が「台北メールクワイヤー」の招きで、その一週間前に演奏させてもらったホールです。政治や経済の壁はいろいろとあるようですが、合唱では率先して国境の壁を取り払うことが出来るようです。合唱を通して人と人とが出会い結ばれ…、迎えられたり迎えたり、歌ったり聞いたり、影響を受けたり与えたりしているのです。そのような様子を見ていると、合唱というものがいかに「分かち合う」という言葉を体現する表現形態なのかということをつくづく感じさせられます。「バンクーバー室内合唱団」の素晴らしい演奏によって、客席とステージは一体となり、私たちはまさに音楽の豊かさ分かち合う関係になっていたように思ったのでした。きっと多くの人にとってこの日の夜は「音楽のある豊かな夜(ついでにその後の少しのお酒も?)」になったことでしょう。素晴らしい演奏会でした。
リハーサル風景 | 会場は超満員! | アンコールは赤とんぼ |
スタンディングオベーション | CD売場は人だかり | レセプション |